死ぬ日を選ぶ

プライマリーの患者が
先日なくなりました。
ぎりぎりまで、
本当に死ぬ瞬間まで
生きた人だったと思います。


そして、その日、患者の親戚には子供が生まれました。
そして、その日は、私の姉の誕生日でした。
患者の家族は「こんな患者もいたっていうことが
皆さんの記憶の隅に残れば、
これほどうれしいことはありません。」
といいました。


忘れてほしくなかったから、
きっと、その日に亡くなったのだと思います。


患者はさびしがりやでした。
言葉や態度とは裏腹で、
とてもさびしがりやでした。


家族がそばにいられないことをよくわかっていたので、
家族には「いいよ、かえって」って憎まれ口も
いっぱいたたいてました。


でも、夜になると、何度もナースコールがなり、
「背中をさすってくれ」
「足をさすってくれ」
「起こしてくれ」
「寝せてくれ」
と・・・・。


夜は寂しいですね・・・と問うと

「うん・・・・」


と頷く・・・・。




最後は大好きな娘がいるのを
確認するかの様に目を見開いて
静かに亡くなりました。


いろいろな意味で難しい気質の患者さんだったので、
本当に毎日の受け持ちスタッフは大変だったと思います。
私もプライマリーナースとして大変でした。
でも、とても多くのことを学ばせてくれた人でした。
私の中で、もっとも忘れられない患者になるだろうなぁって
思います。


なんというか、「馬鹿な子ほど可愛い」という言い方は
失礼ですが、てこずった患者さんほど思い出深いもんだと
思います。