悲しい

17日、担当していた患者の急変があって
忙しかったと日記に書きました。
その患者さんが今日、亡くなってしまった。


その患者さんは、


暑い、寒い、苦しい、便出た


この4つの言葉ぐらいしか言わない人でした。
ただ、その日だけ、私が「暑い」という
患者さんの布団を取り、タオルケットを
掛けて、立ち去ろうとするのに対して
一生懸命何かを訴えてくる。


なんだろう?と思い、聞き返したがわからない。
色々思いつく単語を言ってみるが分からない。
少しでも分かり易くするために、
酸素マスクを外して聞いてみた。


そしたら、



「どうもありがとう。」



だったんです。
私は、「いいえ、どういたしまして!」
と答えました。


その数時間後、急変して、非侵襲の人工呼吸器を
装着したんです。
でも、いつも、そうやって急変して、
呼吸器つけて、しばらくすると元気になっていたので、
今度も、きっと1週間もすると元気になるだろう
って思ってました。


が、本当に突然、しかもあっという間に
逝ってしまいました。
1時間も持ちませんでした。
挿管しても、心マしても、薬使っても駄目でした。


その場面を見ながら
その患者さんの最後の言葉を思い出しました。



「どうもありがとう。」



他人にそういう言葉を残して死ねる人生を送った人
だったんだろうと思いました。
そして、その「ありがとう」は
私が、たまたま、代表で受け取っただけで、
きっと、もっとたくさんの人にいいたかったんだろうなぁって思います。