ハローベスト - 馬車馬ナースの日記

脊髄損傷（頚髄損傷）になると、
たいていハローベストをつけます。

ハローベストというのは、頭蓋骨にちょっとネジを差込み、
体と頭を固定してしまい、頸部を動かなくするようにする
ベストです。

このベストは、ガッチリ固定するので、
当然、簡単に外れたりしません。

で、このベストをつけた人が
心停止した場合、どうするのか
って思いませんか？

頚髄損傷の人って自律神経も
やられてるので、吸引などの刺激で
迷走神経反射が起きて心臓が止まっちゃうことが
あるんです。

だから、ハローベストの外し方の手順は
ナースの誰もが分かるように、図や絵を
書いてベッドサイドにおいておかなくては
なりませんが、実際、その手順で外すにも、
時間がかかってしまいます。
なんといってもしっかり固定することが
目的ですから、ネジも固いんです。

だから、実は、ハローベストの外し方がわかっても
現実的にはそれでは間に合わないわけです。

そこで、どうするかというと・・・・

ハローベストの隙間から、手を入れて
心臓マッサージをします。
これは実際に見ましたが、
ちょっとやりにくそうでしたが、
ちゃんと蘇生しました！

ただし、これは、痩せている人や
小柄な人だからこそ出来る裏ワザで、

大柄で、太めの人だと、
ハローベストが体と密着してパンパンなので、
手を入れる隙間もないため出来ません。
その場合は時間がかかってもベストを外してから
蘇生に取り掛かるしかありません。

体型で明暗が分かれてしまうのは理不尽ですが、
とりあえず、太っているとあまり良い事はないんだなぁと
こんなところでも実感してしまいました。